カンキツ産地見学② :静岡県沼津市

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前回記事から引き続き、「シトラスファーム伊藤」さんの見学のもようをお伝えいたします。今回は園主の伊藤さんの来歴と、園地の様子について。

園主の伊藤正樹さんは東京出身。元々、農業や牧畜をやりたいと夢見ていたこともありましたが、東京の大学を卒業後は商社に勤務。世界中を飛び回る海外勤務の中で、南アフリカでの農園経営なども構想しましたがご家族の病気治療のため帰国する事に。ご家族との死別を期に、農業の夢を追うことを決断。早期退職ののち、沼津市や県に新規就農を相談。地元農家さんに弟子入りされ、2006年から園地を借りてカンキツ栽培を始められました。現在は借地だけでなく所有地の園地も保有。けれどいずれの園地も急傾斜地や園地同士が離れていたりと、苦難も多かったそう。その都度試行錯誤しながら、現在ははるみをはじめ約10品種のカンキツを栽培していらっしゃいます。


そんな伊藤さんの園地も見学させていただきました。収穫を控えた果実には袋がけが。果実の風や葉による擦れ(写真右下)を防ぐのと同時に、鳥獣害の予防にもなるそうです。(写真ではわかりにくいですが園地には頭の高さぐらいに鳥が入ってこれないようテグスも張られています)ひとつ袋を外していただくと、陽の光を目一杯浴びて色づく果実。何度見ても果物の素敵な表情だなと思います。私が鳥なら一目散に啄みに行くことでしょう。それぐらいに魅力的なカンキツなんです。

※オンマウスで説明が出ます

現在農協への出荷のほか、宅配便を介しての直接販売も行っている伊藤さん。先述の獣害防除をはじめ、果実一つ一つへの袋掛けや商品の選別をする際などは、お客様の顔が思い浮かび、「自分のカンキツで喜んで欲しい」と、商品へのこだわりが強くなるとの事。僅かな擦れなども見逃しません。成品率の向上はもちろんのこと、加工品や貯蔵技術、販路拡大によってより多くの品物を出荷したいとの事。まだまだ先を夢見るその姿に、より多くの人に伊藤さんのカンキツを楽しんでもらいたいと感じました。

いまや生産するだけが「農業」ではありません。自分の作った農作物をどんな人に買ってもらいたいか、どのように販売するか、どのように告知するか…セルフプロデュース、という横文字が合っているかは分かりませんが、個人の農家さんにおいては、未来に対する明確な指針、自然や需要に対する柔軟性、消費の新規開拓など生産技術以外の側面がとても重要なのではないかなと感じました。

この人が作ったこの作物が食べたい。ナンバーワンは入れ替わりますが、オンリーワンはなかなか変わらないもの。オンリーワンを知ってもらうには何をするのがいいでしょうか。味を売りにするのか、栽培方法?選別方法?きっと農家さんひとりひとりの魅力が詰まったものになると思います。その魅力が【絶対的な商品価値】であり、市場などにおける【相対的な商品価値】とはまた違ったものではないでしょうか。
その両方の価値を判別できる【真摯な消費者・販売者】になれるよう、まだ知らない産地や商品を学んでいきたいと思う1日でした。

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